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Idea Factory |
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by カール・クレーベンス (Carl Cravens)
(2000年8月7日)
訳:トモス(tomosakinas*at*hotmail.com)
創造性までの壁がまだ立ちはだかってるかな? もしかしてよくない音楽を聴いてるんじゃないかな? 僕の経験だと、自分のクリエイティブな仕事をスムーズにこなすために重要な事のひとつは、うまい音楽を選んでいいムードをつくることなんだ。コラムを書く時でも、冒険を準備する時でも、背景世界やその住人達を考える時でもね。
もちろん、ぴったりくる音楽がどんなものかは人それぞれだ。たぶん創りたいモノの種類とか作業のどの段階にいるかにもよるだろう。でも何か共通性があるんじゃないかな。僕が真っ先にやるのは、自分でものを書いている時には歌詞がついてる曲を避けること。(ブレインストーミングをするなら別だよ、それはすぐ後で話すけど。)自分が言葉を紡いでる時に他人の言葉が後ろで流れてたんじゃ気が散ってしょうがない。ほとんどの場合、ものを書いている間は音楽はただ雰囲気をつくるためのものだな。気が散らされるのを防ぐし、潜在意識の方にも探してるアイディアに向けてちょっとノリを与えてやれる。
じゃあどんな音楽がいいんだろうか? 音楽のサントラはゲーム関係のものを書こうっていう時にはかなりいいみたいだ。この手の音楽はテーマがあって、自分を特定の雰囲気とか気分にするようになってる。困ったことに、時として浮かび上がってくるイメージが具体的過ぎることもあるんだけど...”Anvil of Crom” は思わず息を呑む傑作。盛り上がること保証つきだ。でも、これはきっとコナンのことを思い起こさせるんじゃないかな。彼のテーマソングなんだよね。ま、音楽を選ぶときには雰囲気をつくる代わりにお呼びでない映画のイメージを思い起こさせちゃうようなのを選ばないように注意しないといけない、ってことだ。時にはこれがいい時もある、例えばコナンの映画の不毛な感じに浸りたい、とかね。でも特定のイメージが出てきちゃうことの罠にはくれぐれもご注意を。
映画の音楽の他にも歌詞のついてない音楽はいろいろある。クラシックからニューエイジ、テクノにいたるまで、普段は聴くタイプの音楽以外のものも少し試してみることをお薦めするな。たぶん意外な収穫に驚くことになると思うよ。でも、カッコイイだけの曲じゃなくて、ゲームでつくりあげたい雰囲気をつくるようなのがいい。トランスするような早いリズムの曲とかは聴いてて楽しいだろうけど、森を愛するエルフの神話をつくろうとしてるんだったら雰囲気が全然合わない。まあ、エルフが熱狂的なダンスを神聖なかがり火の回りで踊るのでもない限りはね。結局のところ、うまく行くものを選ぶのがいいんだけど、どうしてそれを選ぶのかについてはちょっと注意が必要っていうことだ。
では、ブレインストーミングの話をしよう。ブレインストーミングは、文章を書くのとはかなり違う。アイディアの気ままな探求だからね。テーマがある音楽だけじゃなくて、歌詞のついてるものでも役にたつ。テーマが全然ない音楽でもいい。僕はファンタジーのシナリオをポップスからインスピレーションを受けて考えついたこともあるんだ。
僕の一番のお気に入りはELOのタイム。このアルバムはテーマがある。歳月の経過とやがて来る未来。ここに入ってる曲は、例えば、叶わなかった愛について、喪失について、あるいは奇妙で不快で、変態的ですらある時間とテクノロジーの不可避の進行の結果について歌っていたりする。どんなジャンルのゲームをするのであれ、ゲームマスターにとってはどの曲もインスピレーションの源になると思う。ただ、インスピレーションを得るには座ってアルバムを適当に聴いてるだけじゃだめなんだ。もしかするとそれでもうまくいくかも知れないけど、単に時間の浪費に終わるかも知れない。普段から音楽を聴くときには、テーマやアイディアに気をつけるようにするといいと思う。後で使う時のために心に留めておこう(そうじゃなければメモしておこう)。いざクリエイティブな作業をする段になったら前に聴いた音楽を思い起こしてみて、その作業に関係がありそうなテーマとかアイディアがあるかどうかチェックするんだ。
タイムの3曲目は「2095年 親愛なるあなたの... 」で恋人と離ればなれでいる男がロボットに恋をして、そのロボットが彼を愛してるのかどうかもよくわからないし、いずれにせよ愛について語ることができない、っていう話なんだ。奇妙な歌だけど、テーマはありふれたものだ。報われない愛だとか、禁じられた人への愛・届かぬ相手への思いだとか。ちょっと見この曲は技術の発展した未来のことみたいに思えるかも知れないけど、曲に込められてるメッセージの方は時代を越えて変わることのないテーマだ。
曲を聴いて、曲のアイディアを心に留めたとする。では今度はどうやってそれをファンタジーゲームに使えるか? この曲の中では、あるひとりの男が彼のことを愛してくれるはずがない機械に愛情を抱く。ゲームに使えそうなのはどういうところだろうか? これはちょっと厄介だ。だってPCを無理矢理恋に落ちさせることはできないからね。(魔法を使うんじゃなければ、だ。魔法を使うという手はあるけど慎重にやらないといけない。) PCのパラディンが高嶺の花の女王様に恋に落ちるようにする、っていうのはだからちょっと無理だ。でももしNPCが純潔の誓いを立てているパラディンに恋に落ちたらどうだろう? もしNPCが...女王だったら? 神と祖国と王に仕えること以外何も望まない神聖で純潔な守護者の人生に、女王ならどんな混乱を巻き起こせるだろう?
この報われない愛っていうアイディアは新しいものじゃない...使い古されたネタだ。でもこのアイディアは今時の物語にとってもやっぱり基本だし、単にもう既に使われてるからって無視するなんてことはしない方がいい。そもそもこのアイディアは例の曲の歌詞に刺激されて思いついたものなんだし。音楽に刺激を受けてゲームに実際に使えるアイディアを思いつくっていうのが当面の目的なわけだからそれでいいんだ。英雄的なパラディンに恋に落ちた女王っていう基本プロットに更に肉にけするのに歌詞の一部を使うことはできるだろうか? ”私はあなたによく似た人に会った。/でも彼女はIBMマシン。”女王がパラディンに恋に落ちたのはパラディンが昔愛した人のことを思い出させるから、っていう風にはできるだろうか?
このテクニックは時にもっと単純だ。僕は以前エッフェル65の「アイム・ブルー」を使ってファンタジー世界用のキャラクターを作ったことがある。その曲のメッセージはすごくストレートだった...この男はやけにおじけづいていて、彼の世界はその気持ちに染まっている。「これは僕のブルーな家。窓もブルーだ。」この曲に刺激を受けて僕はPCが常連になってる飲み屋で働くNPCをつくった。彼は落ち込んでいて、キッチンで働く彼の人生には明るい未来がなくて、でもやめることもできない。そんなだから、彼は調子よくやってるPC達に会って冒険談に熱心に耳を傾ける...いつの日か、彼も勇気を出して脱走して、冒険に出発するPC達の後を追っていく。
テーマのある音楽とインストゥルメンタルの音楽に戻って、ブレインストーミングにそれをどう使えるかをちょっと見てみよう。歌詞のある音楽とは違って、今度はブレインストーミングの最中に音楽を聴くんだ。前に聴いたものの中から自分が探してるものを考えに入れつつ何を聴くか決める。その音楽はたぶん、ディテールを創り込む時に聴く音楽と似てるか、同じなんじゃないかな。どういうのが自分にいいかっていうのが一度わかると、何を聴くか決めるのは簡単だ。
そもそも何を創るんだろうか? キャラクターのディテールか、町の雰囲気か、邪悪な教団か。ムードに合いそうな曲を選ぼう。これは前のやり方と同じだ。でも今回は何かを書こうとはしないで、ただ曲を聴いてそれが何を描き出しているかをイメージしてみるんだ。例えば砂漠の町をつくろうとしているとする。野蛮人コナンのサントラから6曲目「神学/文明」を選ぶ。目を閉じると、ラクダがゆっくり町に向けて歩いているのが見えるかも知れない。音楽が激しくなるにつれ見えてくるのは、にぎやかな市場や神聖な服を身にまとった奴隷の女性がしつこく値切られているのや、スパイスの効いた食事やきつい匂いのワイン、ラクダのフン。音楽が情景を描き出すに任せてみよう。
このテクニックは練習がいる。部屋を暗くして、ヘッドフォンを耳にあてて、音楽をかけたらゆったりして音楽が語るに任せる。現実のことは忘れて音楽に浸るんだ。異国の土地、大胆な冒険、見下げた悪漢などを音楽が描き出す。このプロセスが始まるまでにはちょっと練習がいるかも知れない。もし音楽がすぐに何かを浮かび上がらせてくるようでなければどこから始めるか自分で探さなくちゃならないだろう。これは最初に何をしようと思っていたかによって決まる。もしPCが住んでる町の雰囲気を知りたいんだったら、町の馴染みの部分を思い描いて見よう...PC達がよく行く飲み屋、市場、町役場。よく知ってるキャラクターから始めるっていう手もある。もし町のあちこちに強靭な衛兵がいてその隊長がゲームの中で重要な役だったら、彼の一日がどんなかを想像することから始めてもいいだろう。
もちろん世界設定や行動を音楽に合わせなくちゃならない。このプロセスは大抵、音楽がどこから想像を始めるかを告げてくることから始まる。もし音楽が全然語りかけてこないようだったら他の曲を試すのもいいだろう。
もしある曲が明らかにあるキャラクターとか場所について語ってるようなら、その音楽をゲーム中にテーマ曲として使うのはどうだろうか。音楽がプレイヤーにもマスターにも情景を描き出してくれる。
もし創造性の井戸からアイディアをくみ出すことを考えてるなら音楽を見逃す手はない。音楽は何世紀もの間情景を描き出して来たんだからそれを君の世界にも使えないわけがないよね。
今月は本を推薦する代わりに音楽や情報源を推薦しよう。クリストファーBメッリットのユーズネットの「手引きになる質問」は音楽の話題をゲームの中に持ち込んで売り込もうとしててちょっとうっとうしいけど、彼の「寄留ファンタジー」の音楽は素晴らしい。ファンタジーにぴったりのトーンでありながら、特定の何かに似ているとかいうことがない。他の作品も完成させてくれることを願うばかりだ。それからMP3.com(やその他の)必要なジャンルの知らない曲を安く手にいれられる手段も外せない。ファンタジー(中世のカテゴリーとかをチェックするといい)、SF、ホラー、サイバーパンク、などなどに合った音楽をたくさん見つけられるだろう。MP3.comのアーティスト達をプロじゃないからって見くびらないように。ロールプレイングゲームの世界と同じようにアマチュアの中にも最高のプロと渡り合える位の実力の人はいるものだからね。ノムジー(Gnomusy) ロブ・チルコット(Rob Chilcott)クリプトニック(Kryptonic)辺りは特にいいからチェックするときっと想像力を刺激するような何かが見つかると思うよ。
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