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Idea Factory |
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by カール・クレーベンス (Carl Cravens)
(2000年7月6日)
訳:トモス(tomosakinas*at*hotmail.com)
みんなこんな経験があると思うんだ。週末のゲームのために何かアイディアを出さなくちゃいけない、でも目の前のノートは真っ白。キャラクターをもう少し面白くしたいんだけどな、と思ってもこれは、っていうアイディアが全然浮かんでこない。早いところまとめないといけないんだけど、創造性を邪魔する分厚い壁が何百メートルも続いている感じ。そういう時、僕が力になれると思うな。このコラムはアイディアを集めて、創造性の壁を突破して、君のゲームをいろいろなネタからのアイディアで味付けするためのテクニックを探求していくためのものなんだ。
僕の最初のテクニックはわりと単純だけど、でもすごく役に立つもの。辞書を使うんだ。何かイマ風の名前を知りたい時には電話帳とか赤ちゃん用の名前本とかを見るみたいに、辞書とかシソーラス(同義語辞典)を使って創造的な作業にちょっとした偶然性を投入するんだ。この考え方を僕が前に出くわした問題を例にとって考えてみよう。
僕の都市ファンタジー系のキャンペーンの中で、PC達は犯罪組織と衝突していた。僕はその組織の主な活動内容についてあれこれの細部を知っていたんだけど、もう少し何かつけ加えることでもっと生き生きとした感じを出したかった。PC達がその組織の活動について探りを入れて、結局大したことをやってないんだって気づくだけじゃだめだ。
そこでちょっと辞書を持ってきて言葉をいくつか取り出す。10語ぐらいあるとだいたいうまくことが動き出すかな。明らかに使いものにならない言葉はパスするけど、あんまり選びすぎてもだめだ。この方法の難しさの半分ぐらいは、この、言葉を採用するかパスするかを決めるところにあるんだけど、でも何度かやったら使える言葉を見分ける勘が身につくよ。あと、いつでも言葉をボツにしたり新しい単語をつけ加えたりしていい。
で、よさそうな言葉をいくつかものにしたら、まずそれらの単語が互いにどういう風に組合わさるかを見てみよう。ある何かに結びついていそうな単語が3つか5つぐらいないか探してみよう。ここではただアイディアを探してるだけで、既に自分の心のどこかに既にあるアイディアに結びついてくる単語があるかどうかを探してるんだ。いい思いつきとか閃きとかを探すだけで単語をうまく組み合わせようなんていう風には考えない方がいい。そもそもちゃんとした組み合わせになるかどうかもわからないジグソーパズルのでたらめなカケラを組み合わせてるようなものなんだから。新しいアイディアを思いつく手助けになるはずのもので、無駄な努力の練習じゃないんだ。明らかに関係のなさそうな単語を無理矢理組み合わせようとするとたまに、本当にすごいアイディアが閃くこともある。だからやってみる価値はあるんだけど、「ポップコーン」と「アラー」がうまく組合わさらないからってアタマを壁に打ちつけるようなことにはならないようにね。
で、僕が最初に試した時には、4つの言葉がつながってるように感じた。「密輸品、クスリ、花、剃った」悪いリストじゃないね、だって最初の3つの言葉はすぐに結び付けられるんから。「花はクスリをつくるのに使われる。そしてクスリはしばしば密輸される。」でも「剃った」はどうなるんだろ?
キャンペーンを振り返って見ると、僕は問題含みの新興宗教団体を登場させて地元の宗教界にちょっとした波乱を巻き起こそうかと思っていたんだ。そうか!
クスリ(花からつくられた)は王国に密輸されている。服従の証として頭を剃った新興宗教のモンク達は彼らの儀式にこのクスリを使っている。
っていうことはこの犯罪組織は強力なクスリを作るのに使われる花を新興教団の僧侶達に大量に売っているんだな。しかもこれは話の発端でしかない。あれこれと面白い疑問がわいてくる。悪名高い犯罪組織と取り引きしてまで手にいれる花でつくったクスリで、いったい僧侶達は何をやってるんだろうか? 僧侶達はお金をどうやって手にいれてるんだろうか? クスリをつくる場所はどこにあるんだろう? 犯罪者達はどこ経由で花を手にいれるんだろう? こんなにたくさんの疑問、たくさんの使えそうなアイディア、それがたった4つの言葉を解釈しただけで出てきた。
この疑問の内の幾つかは簡単に答えられるだろう。他の疑問はまた行き詰まりをもたらすだろう。その時にはまた辞書を使おう。僕の場合、次の単語は「お告げ」だった。なるほど...っていうことは僧侶達はお告げの下る夢を引き起こすためにあのクスリを使っているんじゃないだろうか? うまく組合わさるな。ちょうどPCのひとりが、地上を去ってモータル達との交信を断ってしまった神々を探しているところだったから。神々とのコミュニケーションに見えるものなら何でもそのPCの気をひくだろうから。僕はこのアイディアが結構気に入って、もう辞書は使わずにその教団と犯罪組織の関係のディテールを肉付けしていく気分になっていた。
別のを試してみる? 最初の10語を見てみよう...「鍋、スプルー、予言者、世俗の、サテン、男爵、生皮、修正、カラマツ、真チュウ製。」これを見ると一番よくわかると思うんだけど、何か特定のものにあてはめようとする時にこの方法は一番役に立つんだ。時には特に何も考えないままに辞書をひいて、何かこれは、と思うような単語が出てくるまで見ていくのもいいだろう。でもだいたいの場合、どういう状況にアイディアが欲しいのかを知ってることは焦点の定まった作業をするのに役に立つ。でもとりあえず今はキャラクターをつくってるところで彼を肉付けするアイディアを探してるところだ、っていうことにしてみよう。
うーん。男爵、生皮、真鍮製、っていう言葉が特に使えそうだ。こういうのはどうだろう:向かいの家の男爵は生皮で真鍮製だ。彼はごつくて、大胆で、後先考えずに思ってることを口にする。 このアイディアを思いつくのに別に特定の道筋を辿ったわけじゃないよ。ただ単語を見て思いつくままに考えただけ。ここには規則は何もないっていうのを思い出して欲しい。単語でも単語の組み合わせでも、何か使えそうなものを見つけたら何であれ使うんだ! この作業の目的は結局のところそこにあるんだから。でも僕はPCを作ってて、男爵が冒険に出なきゃいけないっていう感じはしないから、このPCは男爵に誓いを立てた騎士だっていうことにしたらどうだろう?
この騎士についてもっと知りたいんだけど、リストの中に何か使えそうなものはあるかな? ”世俗の”っていうのは宗教のことを考えさせるな...騎士は信仰を持った人物だろうか? 「世俗の」っていうのは「世間の」っていう意味を含んでるけどこの騎士はそういう感じじゃないな。彼は男爵に忠実で、強くて大胆、自ら道を切り開いて行く無頼者、でも彼は神と王に対して強い信仰心を抱いている。僕が単語の意味の正反対を使ったのはわかるよね。選んできた単語はそのまま使ってもいいし反対にして使ってもいい、ある物事が何「である」かを定義するのにも、何「でない」かを定義するのにも役立てる。
「スプルー」はどうするんだろ? スプルー、っていうのは小さな木みたいな物で、型にプラスチックを注入する時にプラモの部品を支えるためのものなんだけれど。。「流し型」っていうのは男爵の息子のことを考えさせるな。息子は父親と同じ型でできてるだろうか? 「サテン」っていう言葉がたぶんそうじゃないんじゃないか、っていう風に僕を考えさせる。彼はきっと気取り屋で、サテンの衣装を身にまとって父親の汗がブーツの彼の上に落ちたりすると怒るようなやつだ。そこには深刻な対立の可能性がある。男爵の称号を受け継ぐのにふさわしくない、役立たずでろくでなしの息子と無鉄砲な男爵。そして騎士は男爵のお気に入りだけど男爵の息子は騎士のガッツを憎んでいる。うーん。これは楽しめそうだな。
きっとこのアイディアを使ってかなりあれこれ考えて行けると思う。でももし考えにつまったら、またいくつか言葉を選んでくる。するとまたひとしきり考えが走り出すだろう。もうひとつ別のアイディアについてもちょっと触れておこう。
今までのところ、僕らは言葉の意味を文字どおりに解釈してきた。でも象徴的な意味を考えることもひとつのやり方だ。もし愛にまつわる象徴だとしたら、剣はただの武器以上のものだ...力の象徴、戦い、君侯への誓い、軍の勲章、率直で誠実な王。選んできた単語について考える時に、言葉の文字どおりの意味だけじゃなくて象徴的な意味も考えるべし。上に挙げたリストの中で「カラマツ」っていう言葉があったけどこれはスプルーに使う木の一種だ。木について考えると、気候や歳月の破壊にも耐えて、高く、力強く立っている物が思い浮かぶ。古木は多くの物事を見て、賢くなっている。古木は王様を表してるかも知れない。木についてのこういう考えは王様になるべき人のことを表してるんじゃないかな?たぶん彼はかつて背が高くて頑強で賢かったんだけど、木と同じように、中が腐って病気を抱えていてもう倒れるまでは時間の問題なんだ。象徴の力はすごい。この可能性を見過ごさないようにね。
で、これはこれだけの単純なことなんだ。辞書からランダムに単語を取り出してきて、想像力に勢いをつける。使える言葉から出てきたアイディアを追求してみる。何も閃きを与えない言葉や、追求していることと対立しそうな単語は無視する。
で、僕はひとつ白状しなくちゃいけない。僕はもう紙媒体の辞書は使わないんだ。本当にランダムにやるのは難しいし、使うのがちょっとめんどう臭い。だから僕は電子辞書をひとつ用意して、そこからランダムに単語をひいてくる簡単なプログラムを書いた。単語のリストとパールで書いたプログラム(スクリプト)はここにあるよ。
紙媒体の辞書からデジタルのリストに移ると便利なのは、もう印刷された素材に縛られなくてもいいこと。自分だけのリストをつくることができる。上に挙げたサイトには想像力を刺激するようなイベントのリストもある。
最後に、僕はひとつコラムを終わる時にはアイディアの探求に役に立つ本をひとつ推薦しようと思う。今月の本は「それらしいキャラクターづくり」マーク・マクカッチョン著、ライターズ・ダイジェスト・ブックス刊。この本はここで紹介した辞書を使うテクニックにもけっこう使える。っていうのはこの本は基本的にはキャラクターの性格や外見や服装なんかについての単語のリストだからだ。あなたやあなたのプレイヤーがキャラクターの細部を考えるのに行き詰まった時にはすごく役に立つよ。
カール D. クラーベンス(Carl D. Cravens)
carl*at*rpg.net
この記事は米国RPGnetの許可に基づき翻訳されたものです。日本語訳については当サイト管理者ben*at*scoopsrpg.comまたは翻訳者まで。記事の内容については本人へ英語で連絡してください。