1998年11月16日
著者 ラリー・ホルス(Larry D. Hols)
翻訳 とんがりぼうし(wizhat*at*anet.ne.jp)
何十年も前に、ウイスコンシンで新しい種類のゲームが現れた。もっと面白いゲームを捜し求めることに取りつかれていたミニチュアゲームのプレイヤーたちは、様々な能力をもったひとつのフィギュアで遊び始めていた。ファンタジー小説的な装飾、つまりドラゴンや魔法使いやヒーロー、が何かほしいという欲求は、地下迷宮の地図を作るという発想と結びつくようになり、ひとつの新しいゲームがほとばしり出た。プレイヤーたちはもはやいくつもの騎兵隊を指揮することはなくなったが、そのかわり自分のキャラクターの行動を決めるようになった。
最初のロールプレイングゲームを創造するのに必要な基本的ひらめきは、個々のキャラクターを作り上げるのに必要な仕組みを実際にもたらすことしかしなかった。そのアイデアは、殊勲や豪勇をもって知られる英雄であるかもしれないたくましい人たちを表現するためのものだった。どうやったらこれを理にかなった方法でやれるのだろうか。
一番最初のロールプレイングに関する小さなフィドリーはこうして生まれた。ほとんどの人にとって、どうやってゲームが書かれたかなんてどうでもいいことだった。後のロールプレイングゲームの発達において、この小さなフィドリーは、このたった一つのアイデアの持つ力に無知な、多くのプレイヤーたちによって嘲笑されるだろう。しかし、アーキタイプとキャラクタークラスのフィドリーには、高く評価されるべきところがある。
新しいゲームは作者をとても必要としている。プレイヤーは自分たちの新しいキャラクターを描写する必要があるし、どんな功績をたててきているべきかを知る必要がある。その上、キャラクターは、すばらしい功績を成し遂げる能力がある英雄であるか、少なくともゲーム中に伝説的な英雄になる可能性を秘めている必要がある。
伝説的な人や出来事について述べた物語を連想させるファンタジーのジャンルは、すばらしい発想を新しいゲームの形式に対して巧みに提供する。それは、おそらく、さらに多くの発想をもたらすことができるだろうし、ゲームに使うキャラクターを描写するのにいくつかの助言を提供するだろう。物語の中に描写されている印象的なキャラクターはどのようなものだったのか。そして、どうやってゲームに役立てることができたのだろう。
印象的な英雄の最高の例として、ハワードの書いたコナンに目を向けてみよう。さらに、他の物語にも目を向けて、この蛮人の戦士に似ている英雄を探してみよう。クル、アラゴン、ファーラド、ランスロットとトリスタン、ベーオウルフ、ギルガメシュ。これらは、コナンのように必ずしも蛮人ではないけれども、それぞれ、小説、伝説、神話における伝説的な戦士である。しかし、彼らは十分な類似点を持っているので、ひとつの集団として描写することができるし、集団としての描写は個々のキャラクターを描写するのにしっかりとした土台を与える。基本的な特徴として肉体的な忍耐力を備えているので、彼らは頑強である。彼らはさながら武器のごとき人間であり、武器の使用に熟達し、常に戦う準備ができている。必要となると、これらは押しかえすのに最も適している。
同時に、別の生き方をするものたちもいる。ガンダルフはほぼ間違いなくトールキンの指輪物語の中で最も良く知られ、また最もよく愛されているキャラクターであるし、マーリンはおそらくアーサー王伝説の中で最も良く愛されているうちの一人だろう。ババヤーガはいまだに、東ヨーロッパと西アジアの子供の夢に出てくる。これらはみな偉大な知識と魔法の力を備えた人物であり、十分に共通点があるので、集団としての描写は個々のキャラクターを描写するのに基本的な土台を与える。
神や教会のために信仰を行うという人々もいる。金目当てで、ドワーフのために何かものを盗ってくる小さなホビットのような連中はどうだろう。そのキャラクターはどこに当てはまるだろう。
新しいゲームの役に立つ物語の概観によって、さまざまな英雄やキャラクターを全般的な集団やアーキタイプにどのように分類できるかを理解することができる。これらアーキタイプはどうやっても細部を描写することはできない。しかし、キャラクターがどう冒険に取り組もうとするかという基本的な方法に対する、手早く確実な理解を与える。このことによって、ゲームに使うキャラクターを作成する際、アーキタイプは特に役立つものとなる。
アーキタイプはキャラクターについて基本的な理解を与える。このことはゲームデザインにおいて利用されてきた。アーキタイプをキャラクターの基礎として使うことの効用は、おそらく完全に明らかになっていない。もっとも明らかな利点は使いやすいということがひとつあるが、アーキタイプを使うことで、ゲームをより柔軟にすることもできる。
アーキタイプを使って描写されているキャラクターは、まさにアーキタイプから引き出される豊富な情報を持っている。戦士は、武器に対してある程度の武勇を持ち、鎧を着て隊列の中でも巧みに動けるよう訓練され、激しいぶつかりあいや痛みに慣れ、戦闘の無秩序や恐怖にさらされるものとされている。このことは現にアーキタイプの描写から知ることができる。どんな武器が使われるか、どんな鎧が着られているかなどのような、ある種のゲームに特有な情報を提供することによって、使用に適した基本的キャラクターはさらに進歩する。人格や性格を備えた基本的なキャラクターを提供することによって、ルールで余計な細部を付け加えることなしに、完全なキャンペーンシナリオを楽しむことができる。このことはアーキタイプの効果を示している。
アーキタイプはいくつかの方法でゲームに柔軟性を与える。第一に、アーキタイプはキャラクターを大まかな言葉で描写し、細部をプレイヤーに任せるので、戦士全ての種類の微妙な細部まで取り扱う必要がない。このことによって、起こり得る全ての事態を可能な限り扱うことのできる厳密なガイドラインやルールの必要なしに、各プレイヤーがちょうど望んだ通りの戦士を得ることができる。もしデザイナーが細部まで特別な変化を取り扱おうとするなら、プレイヤーは、ルールに扱われているこれらの変化に制約をうけてしまうだろう。
アーキタイプは設定にも大きな柔軟性をもたらす。アーキタイプのシステムを取り入れたキャンペーンは諸設定のの相違によって、ルールが干渉を起こすことは全くない。アーキタイプがキャラクターやその能力の細部全てを定めないので、設定はアーキタイプと全く干渉を起こさずに細部を決めることができる。ラクダに乗った砂漠の戦士は、馬に乗った傭兵や体に模様を描いている裸の未開人と同じアーキタイプを使うことができる。
アーキタイプの使用はゲームのために作られたキャラクターに手軽な関心を与える。D&Dの製品群がそうしたように、下位のタイプを使えるようにアーキタイプの用途を拡張することによって、より微妙な細部が手早く提供される。総体的な戦士の集団はいくつもの下位のタイプに分割することができるし、これらのタイプをゲームに加えることができる。聖戦士、きこり、騎兵、蛮人と未開人、歩兵。これらはそれぞれ、戦士と呼ばれる集団のとても大事な要素であるが、プレイヤーが細部を付け加えることができるようにしながらも、戦士という概念が含むそれそれ異なった要素を強調している。
しかし、デザイナーがアーキタイプと下位のタイプの階層をどの程度まで作り上げたいと思うかは、プレイヤーが細部を決めることを制限するものではない。それでもなお、プレイヤーは、個々のキャラクターに適切なものに完全に基いて、アーキタイプに、補助的な細部を付け加えることができる。キャラクターの背景設定に基いた能力の追加は、プレイヤーとゲームマスターによる共同作業の領域であり、アーキタイプの使用はこの領域で有用なことをけして制限しない。
その最初のゲームは、多くの他のゲームのためにお膳立てをし、キャラクター描写の新たな方法を示した。アーキタイプとキャラクタークラスの使用は多くのゲーマにさげすまれるようになり、それらを使用していたために、そのゲームは同じゲーマーたちから嫌われた。しかし、キャラクタークラスを用いたシステムがやる気を失わせるゲームデザインであるというのは間違っているだろう。この概念は適切で役に立つ。ただ単に、具体的な手段には弱点が見うけられるだけだ。
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