[ オリジナル英文を見る ]

Take the Lead: Advice on winning players and influencing parties

リーダーシップの落とし穴と支持基盤
Pitfalls and Power Bases

by デビッド・ベアフォード (David Bareford)
April 9, 2002

翻訳:Thalion

このシリーズではこれまでリーダシップについて、特に模範的リーダーの資質と、よきリーダーとなるためのポジティブなテクニックに重点を置いて論じてきた。シリーズ最後の今回では、人に命令を下すということの暗黒面について、掘り下げてみたい。リーダーが最も犯しやすいミスと、これからリーダーを目指す者が自分の支持基盤を築き上げるための手段、についてだ。

リーダーシップの落とし穴

優れたリーダーへと続く道には危険がいっぱいで、たった一つの過ちが、これまで注意深く積み重ねてきたロールプレイを台無しにしてしまうことだってある。よくありがちな失敗にはこういうものがある:

1) ふて腐れる。 パーティが自分の意見を却下したとしても、不平を言ってはならない。意見を言うのは良いことだが、それをごり押ししてはいけない。君がパーティの意見に従ってそれがうまく行ったなら、君はパーティに対して協力的だと評価されるだろう。逆にうまく行かなければ、次からは君の意見が通り易くなる筈だ。

2) 弱音を吐く。 自信過剰は勿論ダメだが、自分のスキルが足りないことをあまり頻繁に嘆くのも考えものだ。やりすぎると、パーティは本当にそうだと思い込んでしまう。元々キャラクタはその能力や技能の範囲内でしか活躍できないし、人が万能でないのと同様、やはり限界があるのだ。リーダーだからといって万能である必要はないのだから、無理はしないことだ。自分の仕事をきっちりこなし、もし持っていないものがあるならそう言えばいい。だが、自分自身の能力を軽んじてはいけない。

3) 大っぴらに不安がる。 どんなリーダーでも、自分に対する疑いというものを持っている。それ自体はノーマルなことだし、リーダーとはそういうものだ。実際、物語上のリーダーには繰り返しこの自己不信が壁となって立ちはだかっている。リーダーは、こうした恐怖で胃がキリキリと痛む感覚を受け入れ、時にそれを楽しむべきだ。恐れを知るものこそが勇気を知っている。大切なのは、自己不信との苦しい闘いは心のうちにとどめ、他のプレイヤーに悟られないようにすることだ。

自分が最後に下した決断が正しかったかどうか、君はずっと悩み続けるかも知れないが、それを他のプレイヤーたちに悟られてはならない。自分自身が信用できないのに、他人が君を信用してくれるだろうか? このコラムの後半では不安を皆に見せるべきタイミングと場所について論ずるけれども、危険な状況下で決断を強いられたときには、決して不安を見せてはならない。

4) 傲慢に振舞う。 自分たちの意見が必ず却下されると感じたプレイヤーは、リーダーの意思に従わなくなる。だから、プレイヤーたちの助言は誠意を持って聞き、そうした意見を大切にするべきだ。「馬鹿言うなよ」とか「ああ、いいかもな。でもさ…」といったコメントは、プレイヤーもキャラクタも歓迎しないだろうし、リーダーとしての君の立場も悪くする。

5) 衝突する。 パーティのリーダーでいたいなら、発言力のある他のプレイヤーと揉めるのはできるだけ避けるべきだ。発言力の強いプレイヤーにも色々あり、ゲーム経験が長くてシステムに関する知識が豊富だとか、使っているキャラクタの能力が抜きん出て高いとか、プレイヤー本人が実際に高いカリスマ性を持っている、などがある。

例えば、あるシーフのプレイヤーが他のプレイヤーたちに尊敬されているならば、そのシーフの意見はうまく聞き入れるようにしておき、本当に必要な場合でない限り、それに反するような決断は避けるべきだ。あまり揉めるようだと、プレイヤーたちは無意識のうちにシーフの側についてしまい、君のリーダーとしての支持基盤が弱まるとともに、安定を損なうことになる。

6) ジャイアン。 他のプレイヤーの意思と反して何かを強制しなければならないときには、細心の注意が必要だ。プレイヤーをいじめたり、大声で怒鳴りつけるするのはリーダーシップではなく、単なる威圧に過ぎない。キャラクタはダイスや判定表の結果には従わなければならないけれども、プレイヤーはそうではない。リーダーには、必ずしもメンバー全員の同意が得られないような決断を下さなければならないときがある。これはリーダーの特権だが、できるだけ使わないようにした方が良いし、自分が決めたプランを実現するために、他のプレイヤーたちを無理やりそれに乗せるような真似はしてはならない。君が自分の好みに合わないようなプロットに乗ることを GM に強制されるのが嫌なように、パーティも嫌なのだ。


権力は預金のようなもの

指揮を取るには、他の人に対して振るう権力を持つ必要がある。マキャヴェリズム的に聞こえるかも知れないが、だからといって世界制服を目指す暴君が自分の権力にニヤニヤ笑いする姿を思い浮かべる必要はない。むしろ、君が運転する車で、数人の友人といっしょに見知らぬ街をドライブする様子を想像して欲しい。土地鑑の無い街の迷路のような道路に迷ったとする。するとその街をよく知っている友達が「道なら分かるぞ。そこを曲がるんだ」と言った。君ならそのとおりにするだろうか? 勿論、そうするだろう。その友達は君をいじめたり、ごまかしたり、見下したりしていないけれども、君はその友達に「リード」されている。つまり友達は、君の持っていない知識を基盤として、君に権力を行使したのだ。

支持基盤というものは、預金口座に例えることができる。お金のように、権力を貯めたり、引き出したりすることができるのだ。ではどうやったら権力を稼げるだろうか?様々な方法があるけれども、どれも少額ずつしか稼げない。権力を稼ぐコツは、長い時間をかけることだけなのだ。

権力の中には、キャラクタを作る段階で手に入れることができるものもある。君は君のキャラクタを誰よりも熟知しているし、その長所についても把握しているはずだ。君がこのキャラクタの長所を披露したり、その知識を引き出したりして見せるたびに、君の口座にはちょっとずつ権力が貯まっていく。君が意見を出して、それがパーティに採用されるたびに、やはりちょっとずつ権力を手に入れていくことになる。

君のアドバイスにで危険な状況から抜け出したり、うまく回避したりすることができれば、パーティは君を信頼し、君の権力はより大きくなる。君をリーダーと見るキャラクタは安定した権力の収入源になるし、君の決断に従った結果、多少の怪我をしていたとしても、結局は君の権力を強める。もしパーティが君の決断に従わなかったとしても、その結果事態が悪化すれば、君の権力が強まる。ただし、そのことをことさらに騒ぎ立てたり、それを狙って妨害工作をしたりしなければ、の話だが。

支持基盤を弱めてしまうようなシチュエーションも沢山ある。上の章で述べたような落とし穴は勿論、君の「口座残高」を減らしてしまう。また、ロールプレイング上でのたった一つのミスが、取り返すのに長い時間が掛かるほど大きな損害となってしまうだろう。

最も大きなリスクであり、また最も大きなチャンスとなるのは、ある一人のキャラクタ(あるいはパーティ全体)に対して、直接的に極めて大きな危険を強いるような命令を下すときだ。こうした命令はしばしば、パーティ全体が望まないような決断となる場合があり、特に時間が差し迫っているような(ドラゴンが向かってくるとか)場合や、とにかく勘で動くしかないような場合、パーティ全体の理解を得るような説明が出来ない。リーダーはこういうとき、いちかばちかの賭けに出るしかない。

こうした命令の代価は高くつく。危険に晒されたキャラクタのプレイヤーは、無意識のうちにそのキャラクタにこれまで自分がかけてきた時間を足し合わせ、それをこの賭けの成功率と掛け合わせている。そしてそのコストとリーダーへの忠誠心とを天秤にかける。この忠誠心とは キャラクタの視点から見たリーダーの支持基盤の大きさなのである。

リーダーはその代償として、信頼できるオーラや、他のキャラクタへの気遣い、これまでの経験で得られたプレイヤーからの信頼を見せることになる。そして、プレイヤーはこのリーダーを信頼するかどうかという、究極の投票をしなければならない。リーダーの言葉に従って、自分のキャラクタを危険に晒せるかどうか。

悪い目が出てしまえば、リーダーの命令に従ったパーティは、まんまと博打でスッてしまったことになる。良い目が出れば、リーダーの株がぐんと上がり、信頼は強まって、他のプレイヤーがそう簡単に崩すことは出来なくなる。パーティとプレイヤー、両方のリーダーとなれるものだけが、真のヒーローである。多少のロールプレイをしてみるのもいいだろう。


この記事は米国RPGnetの許可に基づき翻訳されたものです。日本語訳については当サイト管理者ben*at*scoopsrpg.comまたは翻訳者まで。記事の内容については本人へ英語で連絡してください。

[タイトルへ戻る]