|
Take the Lead: Advice on winning players and influencing parties |
|---|
翻訳:Thalion
ジャイアント・コブラは断末魔の苦しみに身を捩っていたが、やがて静かになった。レンジャーは肩で息をしながら、コブラの屍からグレートソードを引き抜き、この洞窟のような部屋から続く、暗い回廊のはるか先をその切先で指しながら言った。「寺院はこの先に違いないわ。行きましょう」
「ちょっと待った」シーフが反論した。「そこに鍵のかかったドアがある。蛇がドアノブを使うなんて妙だ。とりあえず鍵開けをしてみよう」
「止めておきたまえ」今度は魔法使いが言う「それよりこの巣にある卵をいくつか拾って行こう。これを人質にすれば、あの悪の大神官との交渉に使える」
「交渉だと?」ファイターが口を挟んだ。「いくらでも交渉してやるさ。奴の首が胴体とお別れした後にな!」
レンジャーがため息をついた。こうしてパーティがもめている間に、衛兵たちが走ってくるのが聞こえたからだ。彼女は体勢を整え、廊下で連中を迎え撃つ準備を始めた。
生き残るための鍵は協力とチームワークであるということは、プレイヤーも分かっている。一つにまとまって動くパーティは手ごわくて恐るべき存在だし、また一つの目標に向かって団結したプレイヤーたちは、食い違って議論ばかりしている連中に比べれば、より多くのことを成し遂げられる。
このように統一された意思と明確な目標を持ち、それを維持し続けられるグループは稀だ。そのためにはリーダーが必要なのだ。
リーダーというのは、チームの中で一番威張っている人、というものではない。最初に敵に突っ込んでいく人でもなかれば、とにかく対立を避けようとして「なぁ、どうしてみんな仲良く出来ないだよぉ?」とか言ってばかりいる人のことでも決してない。リーダーは、不明確な状況や、プレイヤーたちの食い違う意見、ゲームのシステム、GMの偽情報などの苦難をしっかり踏まえた上で、使命に対して必要な資源を考慮し、プレイヤー個人のエゴとグループの調和のバランスを取り、グループが特定の目的を達成するためのリスクとメリットを勘案して、行動を決定しなければならないのだ。
良いグループリーダーがいると、ゲームの処理を手早く進めることが出来、プレイヤー間の意見の相違を調整して、パーティを単なるメンバーの総和以上のものにすることが出来る。リーダーはパーティの信頼の基盤であり、パーティの勇猛さを稲妻とするならば、リーダーはそれを放つ「稲妻の杖」なのである。
小説や映画の中では、ヒーローが作戦を支配し、行動を決定している。多くの場合、それは説明不能の単なる「リーダー的オーラ」によって行われ、他のキャラクタは彼の運転する車の後部座席に座っているだけに過ぎない。しかし、このモデルと RPG との間には、根源的な相性の悪さがある。つまり、RPG では全てのキャラクタがヒーローであり、全てのプレイヤーは自分が何をするか自分で決めている、ということだ。プレイヤーはみんな自分が楽しむためにテーブルについているのであって、チームにとって重要でなかったり、頭数合わせのためのメンバーであるとは思いたくないのだ。だが、みんながいつも自分にだけスポットライトを当てようと思い始めたら、大混乱は必至だ。
プレイヤーたちはしばしば、民主主義的に協力体制を決めようとする。あらゆる選択肢を検討し、満場一致の結論が出るまで議論するのだ。確かにこれは賞賛に値することかも知れないが、、議論している暇が与えられず、直ちに行動を起こさなければならないような状況や、プレイヤー間の合意が得られないような状況だってある。こういうときこそ、リーダーの指導力が問われるのだ。
パーティリーダー論はなかなか興味深いものだ(が、論じられることは少ない)。殆どのパーティには、リーダーが自ずと決まるような正式な軍隊的・宗教的・組織的ヒエラルキーが存在しない。リーダーを選挙で決めたり、メンバーの中で回り持ちにすることもあるが、大抵の場合はそういう面倒くさいことはしない。また、キャラクタシートに載っている数値(カリスマ値やリーダーシップ能力(*1))にその根拠を求める者もいる。GM によっては、リーダー候補のキャラクタとそれに反対するキャラクタとの間で、リーダーシップ能力 vs. 意思力の対抗判定を行わせることもある。ただ、その結果がどうであれ、判定に負けたプレイヤーはこのことを根に持ったり、他人に命令されることに対して事あるごとに不平を漏らしたりすることになりがちだ。
つまり、皮肉なことではあるが「パーティのリーダーは、キャラクタの、ではなく、プレイヤーのリーダーでなければならない」ということだ。
だが、ゲームテーブルに集まった友人たちのリーダーになるには、単にダイスを振って反応表と見比べる、というようにはいかないから、慎重に行かなければならない。誰が最初の潜在的なリーダーとなるのか? 現実世界でこの部屋にいる面々を見渡さなければならない。
効率よく集団を率いるには、リーダーはその集団から信頼されていなければならない。それには現実社会で権力を争うことになるが、それにはその集団がリーダーシップに対してどのような反応を見せるか、そこを読み取る洞察力が求められる。抵抗なく他人にリーダーを任せられる人もいるが、事あるごとに説得しなければならない人もいる。何を言ってもマイウェイの人も確かにいるし、自分がリーダーになりたい人もいる。
1. 手下。 リーダーとしては最も扱い易いタイプの人だ。戦う前に勝負は決している。その命令に筋が通っていて、自分のキャラクタが限度以上の極端な危険に晒されない限り、彼らはリーダーに協力する。このように指示に従うのを好むプレイヤーが皆意思が弱いとか、馬鹿だという訳ではない。彼らは単に、パーティ内での役割を果たしたいだけで、政治的な戦い(や、リーダーシップに伴う責任)は他人に任せているのだ。リーダーにとって、こうしたタイプのプレイヤーは、頼りがいのある権力基盤となる。
2. ディベート好き。 この第二のタイプは、どんな命令にもその正当性の根拠を求めてくる。大抵はルールの裏の裏まで知り尽くしていて、戦略的、戦術的なレベルで独自のアイデアを持っている。こうしたタイプに対しては、リーダーは折に触れて彼らの論理に訴え、そうした意思決定に至った理由を説明するべきだ。これによって、このプレイヤーばかりでなく、グループの他のプレイヤーに対しても、リーダーが何の根拠もなく軽率に判断を下しているのではない、と分からせることが出来る。ただし、リーダーは必ずしも全ての命令を説明してわからせるのではなく、状況次第では、単にリーダーの決定を尊重させ、皆を従わせることが出来なければならない、という点は重要だ。これによって、こうしたタイプのプレイヤーだけでなく、他のプレイヤーからの信頼も醸成していくことが出来るのだ。
3. 不思議くん(*2)。 自分独自の考えだけで行動を起こすタイプのプレイヤーは、アナーキーで予想不能に見える。しばしば彼らにはキャラクタのモチベーションや固有のゲームに対する好みがあり、そのためにグループの他のプレイヤーとは違った行動をする。もしこの鍵を見つけることさえ出来れば、こうしたキャラクタの目的を、パーティのそれと合うように調整したり、彼のプレイスタイルにみられるロールプレイの特定の面だけを取り出して、グループを益するように働かせることも出来るだろう。
4. 挑戦者。 リーダーになりたいと思っているプレイヤーの相手をするのはなかなかに危険だ。現実の友達同士の中で権力闘争したいなんて思っている人はいないし、仲間割れしているパーティが出来ることなど、たかが知れている。こうしたプレイヤーに対しては、より下位のリーダーとしての役割を与えるとうまくいく場合がある。これは特にパーティが分割行動する場合に有効だ。リーダー志願の人にパーティの半分を任せて陽動に回し、残る半分でアーティファクトを手に入れる、なんていうのが良い例だろう。こうした命令によって、リーダーの指揮下に置いたままで、彼女にはリーダー的な判断を下す余地を与えることが出来のだ。これが繰り返されていく内に、彼女はパーティ内でのナンバー2と見なされることになる。これは、万が一リーダーが倒れるようなことがあった場合の良い備えとなるだろう。
次回は、良いリーダーの資質と、リーダーシップを取るのに向いているキャラクタのアーキタイプについて論じてみようと思う。