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Run With It: Running Games


檻の中の虎(Tiger in the Cage)

by マイケル.T.リヒター(Michael T. Richter)

December 28, 1999

翻訳: Thalion<thalion*at*os.rim.or.jp>

君が週イチペースでマスターをしてきたブレードキラー™のセッションが終わった。 君は準備万端でセッションに臨んだつもりだった。プレイヤー全員を熱狂させ、椅子から立ち上がらんばかりに出来るはずだったのに。でも実際にはそうじゃなかった。君はどん底までヘコむ羽目になった。プレイヤーはみんな退屈そうにしていて、しまいにはカードゲームを引っ張り出してくる始末だ。こんな筈じゃなかった。何が悪かったんだろう?

フィクションを語る上で、物語のペース配分は、非常に重要な要素だ。マイケル・ムアコックの小説コルムが面白いのは、プロット上の様々な要素が、速いペースで次々に読者へ投げかけられるからだ。もしこれが、長々としたモノローグと情景描写を多用し、のんびりとしたペースで語られていたら、見事に退屈な代物になってしまうだろう。逆に、マーク・ヘルプリンのA Soldier of the Great Warのような作品では、マニアックなまでに微に入り細を穿った描写をしないで、プロット上のアイテムを大急ぎで流していたら、やはりこれも楽しみ難いものとなるだろう。

文学においてもそうであるように、ロールプレイングゲームでも、やはり適切なペース配分というものが必須だ。これを考えないと、本来ならエキサイティングな戦闘シーンになる可能性を持っているところでも、途中の合間合間でダイスを振るだけの、だらだらとした退屈なものになってしまう。本来ミステリアスでなければならない存在も、情報を早く漏らしすぎると(あるいは逆に、情報をセーブし過ぎてしまうと)、凡百のつまらない存在になってしまう。プレイヤー達をゲームに引込んでおくためには、何をするにしても、こうしたペースの使い分けをしていく必要がある。口で言うのは簡単だ。具体的にどういった注意をしたらいいのかが分からないまま、単にペースに気を付けろ、と言われても、全く役に立たない。本当に役立つのは、もっと実践的なアドバイスだ。

ペースの流れをもっと良く掴むには、情報の流れに着目するのが有効だ。どのくらいの頻度で、プレイヤーに情報を与えるのか? 情報を与えるごとに、どの程度考えて貰いたいのか? 新しい要素があたえられた場合、その場で即決しなければならないような状況というのは、どのくらいあるのか? プレイヤーに対して、短い間隔で次々に新しい要素を与えていく場合、ペースは速くなる。ただしこれは、その要素に対して、プレイヤーが考えなければならない事が多かったり、重要な事柄を即決しなければならなかったりした場合だ。新しい要素がなかなか与えられない場合、ペースは遅くなる。データを吟味するための時間がたっぷりあったり、あるいは、状況の変化に対して、即決を迫られない場合などがそれにあたる。

では、緊迫した戦闘シーンを考えてみよう。こういう状況下のペース配分は、息も付かせぬものになっていなければならない。この状況を正しく運んでいくと、プレイヤーには戦闘に関係した様々な新しい情報が、次々に与えられる。そしてプレイヤーは、そうした新しい要素が表れる度に、知恵を絞らなければならない。そしてその決断の一つ一つが、彼らの生死を左右する。こうした理想的な状況においては、刻々と時間に追われている状態になる。好むと好まざるとに関わらず、胸の鼓動は早鐘のようになり、息もどんどん荒くなる。端的に言えば、彼らはエキサイトしているのだ—。まさに、君が望んだ通りに。

プレイヤーをエキサイトさせるための実践的な方法とは何だろうか? この答えの一部は、既にゲームシステムの中に含まれている。処理しなければならない情報の量と、下した決断が与えるインパクトは、君が使っているゲームシステムの戦闘ルールの中に、奇麗に全部含まれている。君がコントロールしなければならないのは、情報の流れ、つまりこの場合は、君が捌かなければならない作業のスピードだ。ペースを速いままにしておくためには、戦闘ラウンドをきびきびと捌けなければならない。これをやるためには、いくつか方法がある。こんな感じだろうか:

たまには、緩やかなペースでの展開が必要な場合もあるだろう。例えば、奇妙な作りの洞窟を描写するとしよう。この洞窟の構造は奇妙であるが、それが重要な要素だとする。こういう場合、プレイヤーに対して、詳細な情報を次々に投げつけるのは、適当なやり方ではない。そうするよりも、幾つかの手がかりを与え、プレイヤー達がそれに対して議論し、吸収出来るようにするべきだ。そうして、情報を小出しにしていき、君が望む雰囲気が出来あがっていくまで繰り返す(その直後に、また速いペースに巻き込むんだ!)。鍵は「タイミング」にある。

プレイヤーに情報を与える場合、理解し易いように、小さい単位に分けて与える必要がある。一つの塊が大きすぎると、プレイヤー達は、君がそれを描写している内に退屈しはじめる。また、情報が複雑過ぎると、今度はそれを説明したり、議論したりする手間が掛って、ストーリーが分断されてしまう。1ロールプレイングに関する限りは、完璧なバランスを実現するには、やはり経験が必要なのだ。

君が週イチペースでマスターをしてきたブレードキラー™のセッションが終わった。 君は普段の準備に加え、ペース配分について、長い時間をかけ、十分に考えた。戦闘シーンでは情け容赦無かった。プレイヤー達はプレッシャーを受け、酷く追い回された感じがしていた。情景を描写する時には、適度に分けた単位で情報を与え、プレイヤーの興味を引き続けた。プレイヤー達は興奮した声を挙げ、セッションで起きた事や、何故そうなったかについて議論をしながら、君のアパートから帰っていった。「最高のセッションだった」との声も聞こえた。君は感謝とともに、このペース配分についてのコラムの作者の事を思い出し、いつしか彼に幾ばくかのお金を送ろうと思いはじめるのだった...。

2


1 描写の方法については、別の話題として、将来このコラムで扱う予定

2 誰にだってファンタジーがある。無論、僕にもあるよ。

マイケル.T.リヒター(Michael T. Richter)
mtr*at*rpg.net


この記事は米国RPGnetの許可に基づき翻訳されたものです。日本語訳については当サイト管理者ben*at*scoopsrpg.comまたは翻訳者まで。記事の内容については本人へ英語で連絡してください。

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