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Run With It: Runtime advice


大きく、巧みな突っつき棒

by マイケル・T・リヒター(Michael T. Richter)

May 1, 2000

翻訳: Thalion<thalion*at*os.rim.or.jp>

君のBladeKillers™のセッションがまた一つ終わった。PC達の不倶戴天の敵、邪悪なるフラッフィ・バニー卿(*1)と PC とを遭遇させる下りで、君にはとっておきのアイディアがあった。その遭遇シーンは、バニー卿の城で起きる筈だったのだけれども、PC たちはそこまで辿り着くことは無かった。PC 達はその城に行こうとすらしなかったのだ。彼らは君が与えた手がかりや、合図だけでなく、挙げ句の果てに君の嘆願すら無視した。PC 達にそれを強要しようとさえしたけれども、上手く行かなかった。それは単に、彼らの機嫌を損ねるだけだった。マスターが望むように PC が行動してくれないとき、どうしたらいいんだろうか?

GMたちはよく、「自分の思うような行動をプレイヤーにさせるには、どうしたらいいの?」というような質問をする。この質問に対する正解は一つしかない。それは「誰も『させる』ことなんか出来ない」だ。実際、プレイヤーに何かを強要するなんて、非生産的だし、喧嘩やトラブルの元でしかない。君に残された合法的手段は、甘い言葉と、ごまかし、この二つしか無いのだ。GM たちのこうした誤りはよく見受けられるが、これは筋書きを書く事と、ゲームをプレイする事とを混同しているという点に端を発している。君が物語作家ならば、登場人物はあなたの思う通りに操ることが出来る。未熟な GM 達は、これと同じ事が出来るのではないか、と思い込んでしまうのだ。これは、プレイヤーが自分のキャラクタをコントロールしたいと思う気持ちを逆撫でしてしまう。

プレイヤーキャラクタに、自分の意志で行動していると思わせつつ、彼の行動を君が"コントロール"するためのシンプルな手としては、何らかの策略を巡らし、そしてポーカーフェイスの向こう側でそれを実行する、というものが挙げられる。もともと、シナリオを十分にモジュール化しておき、遭遇が起きる場所を限定しないで済むようにしておけば、例えば決闘シーンで、PC 達が(君が思っていたような)ホッケーリンクに行ってくれないからといって、困る事は何も無いはずだ。ちょっと手間を掛けるだけで、決闘シーンの舞台を倉庫にしたり、玩具店にしたり、自分の創造力の及ぶ限り、いくらでも変えることが出来る。まぁ、この手も使いすぎると、プレイヤーたちに、マンネリ感を与えることになるけれども。そうなったら、何か別のトリックやワザを使わなきゃならない。

何年も前のことになるが、Marc Miller は、自らの作品トラベラー(Traveller)の中で、自分が期待した通りの行動を、PC たちに取ってもらうためのベストな手段の一つについて、概説している。彼はその中で、優れたシナリオが含む要素を5つ挙げている。「基本」、「押し」、「引き」、「落とし穴」、「」だ。押し、引き、謎、は言うまでもなく、また落とし穴は多少これらには劣るものの、これらはどれも、 PC たちの動機付けの道具として有効なものばかりだ。

Miller のモデルでは、「押し」とは、外部から PC に対して課せられる状況や出来事のことだ。「丘を越えてこちらに突進してくる野蛮人の大群」あたりが、その典型的な例だろう。賢い PC ならその場から離れる筈だ。運が良ければ、そして、周囲の要素をうまく使ってやれば、PC たちは君が望む方向に移動してくれる筈だ。他にも、法律上のトラブル、自然災害—つまり、PC たちに何らかの行動を強いるものなら何でも、が考えられる。ただ、押しは、使い過ぎたり、あるいは理不尽なものであったりしてはならない。このいずれかの状態になると、プレイヤーたちを憤慨させること請け合いだからだ。プレイヤーたちは、自分達が「自由意思」を持っている、という幻想が台無しにされるのを嫌うのだから。

「引き」は、PC の内部から、行動の動機を与えるものだ。無邪気な存在を守ってあげたり、家族を助けたり、あるいは単に金目当て、そうしたものが、典型的な例に含まれるだろう。引きとなるシチュエーションの大切なのは、君が行って欲しいと望む方向へ、PC たちが行きたいと思うよう仕向ける、というところだ。そのため、引きはかなり安全な手段と言える。純真なプレイヤーたちは、君がそうなるよう仕向けた行動を、自分達の自由意思で行っているのだと思ってくれるからだ。

「謎」は「引き」の特殊な形だ。謎は、プレイヤーが解きたいと思うようなミステリーである。トラベラーにおける典型的な謎の例としては、古代種族(Ancients *2)の謎が挙げられる。こうした謎の存在の正体を明かすための手がかりとなるようなものの為なら、PC たちが喜んで危険を冒してくれるだろうことは、もはや保証済みと言える。また、謎は、それほど大掛かりなものである必要はない。TVシリーズの「ツインピークス」では、"誰がローラ・パーマーを殺したのか?"という点について、様々な(って言うか、山程たくさん)の謎がちりばめられていた。うまく配置された謎があるだけで、シナリオの核となり、君が「押し」や「引き」仕掛けるための土台として使う事が出来る。

Miller のモデルでは、「落とし穴」は予期しない展開や、最初知られていなかった情報が、後に明らかになる、といった状況を指す。実は、多くのケースでは、落とし穴は動機づけの原因とはならない。その代わり、プレイヤーたちの緊張感を維持する効果がある。だが、時折落とし穴自体が PC に行動の動機を与えることがある。例えば、信頼していた NPC が PC を裏切ったりすれば、PC たちは怒りに燃えて復讐を考えるだろう。しかし、後にその NPC の娘が人質にされていて、協力を強要されていたと、というヒネリが明らかになれば、それは新たな落とし穴となり、PC の行動を引き出す新しいソースとなる。

こうしたテクニックを実験しつつ、(ここが重要!)そのどれをプレイヤーたちが一番気に入っていたかを、常に観察し続けるのだ。これによって、彼等が自分の自由意思という幻想を保ったまま、君の思うような行動を取ってくれる、という一種のパートナーシップをつくり出すことが出来る。これがつまり楽しいセッションというものなのだ(少なくとも、彼等がこのコラムを読むまではね)。

君のプレイヤーたちは、君にもう一度ブレードキラーズ™のセッションをやるチャンスをくれた。君は再びすばらしいシーンのプランを立てたが、今度は、自分の要望を電報で伝えるような真似はしなかった。数人の取り巻き連中を使って、PC たちが安全な避難場所から出るように仕向けたのだ。フラッフィ・バニー卿の陰謀の全容を知りたいという好奇心に負けた PC たちは、やがてバニー卿の居場所を突き止めようと思い立った。愛する者を人質にされたが、それも彼等の行動に拍車をかけつづけた。旧友の裏切りが彼等を暴力へと駆り立てた。君は、プレイヤーたちの「自由意思」という幻想を保ち続けた。結果、PC たちは君が狙った通りの行動を取り、バニー卿の本拠地で彼と対決してくれた。続いてやってくる乱世は、君たちのグループの前で静けさを取り戻していくのであった。

マイケル T. リヒター(Michael T. Richter)
mtr*at*rpg.net


訳注

*1 : フラッフィ・バニー卿

Evil Lord Fluffy Bunny、つまり「邪悪なるふわふわウサギ卿」が直訳なんだけど…(笑)。

*2 : 古代種族(Ancients)

トラベラーの世界では、記録に残っていない過去において、宇宙の極めて広範囲に渡って文明を持っていた謎の種族がいた、という設定がある。時たまそうした種族の遺跡や遺物が発見されることがある。そうしたものの中には不思議なオーバーテクノロジーを示すものがあり、様々な勢力が血眼になって探し回っている。


この記事は米国RPGnetの許可に基づき翻訳されたものです。日本語訳については当サイト管理者ben*at*scoopsrpg.comまたは翻訳者まで。記事の内容については本人へ英語で連絡してください。

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