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Soapbox: Looking at the Industry

働くのは辛いこと(Labor Pains)

by サンディー・アンテューンス(Sandy Antunes)

March 20, 2000

翻訳:Thalion <thalion*at*os.rim.or.jp>

今日は、ゲーム業界の実務というものについて、ちょっと見てみたいと思う。いや、実際に金槌を振るうやり方とかじゃなくて、この仕事の展望とかそういった点についてだ。さて、この稼業については、主に次の三つの要素に注目してみたい:

  1. 意義: 有意義な仕事か?
  2. 環境: 環境は優れているか?
  3. 収入: それなりに良い収入はあるか?

これらに対する答えが全てノーならば、こんな仕事に就きたいなんて思わないだろう。給料は悪い、面白くない、役立たずな仕事 --- やりたい理由なんてないよね?

一方、これらに対する答えが全部イエスだったら、まるで夢のようだね。良い給料、楽しい、有意義な仕事! まず見つかるもんじゃない。

殆どの仕事には、これらの内、二つが当てはまる。インターネット起業者を例に取ると(例えばそれが HamsterAdsNetwork.com、つまりハムスター広告業...運動用の車輪に電飾を施すとか...だったとしても) 、大抵は給料は良く、仕事は楽しい。一方、医者になれたなら、仕事はキツく、難しいかも知れないが、それでも、人の命を救う仕事だし、収入も良いだろう。

揃っている要素が一つだけ、という仕事なら、世の中には沢山ある。教師を例に取って見よう。彼らの仕事は有意義(未来を担う世代に教育を!)だが、大抵は給料が良くないし、過大な責任を負わされている。システム管理者の収入は良いかも知れないが、辛い仕事で、作業環境も悪い。

フリーライターには、素晴らしい仕事環境が与えられている。つまり「自宅」だ。だが、収入は良くないし、自分の仕事が社会に対して何らかの意義を持っていると、何とか自分に納得させなきゃならない。(アーティスティックな面でのメリットについての議論は、取りあえずここでは置いておく)

そういう訳で、このことから、こういう法則が導かれる:

自分の仕事の点数をつけてみよう!

  1. スゲエぜ!: 三つの要素が全て揃っているなら、夢の仕事だ
  2. クールだ: 要素を二つまで揃えているなら、良い仕事だ。続ける価値があるよね。
  3. ダルい: 要素が一つだけしかないなら、続けてもいいけど、あんまハッピーじゃないよね。
  4. 辞めちゃえ: どれも駄目なら、辞めるでしょ?

さて、これをゲーム業界に当てはめるとどうなるだろう? RPG 業界の典型的な職種にあてはめてみよう。つまり、孤独なフリーライターと、小規模な出版社だ。

フリーライター

ええと、あまり収入が良くないのはみんな知ってるよね。だからこの要素についてはノーだ。この仕事は、しばしば有意義になることがある。人様に楽しんでもらうために世界を創造するという点において、だけどね。だから「有意義さ」という要素についてはイエス、と言えるだろう。問題は、プロならかく在るべし、という標準的な仕事の出来というものを見つけるのが難しい、ということだけれども。あと、フリーライターになると、実際に契約を結ぶのに苦労することになる。きちんと原稿料を貰ったり、伸びていく締切りに対応したり...。そういう所から考えると、ここらへんはノーになるね。

出版社

君はゲームを作りたいと思った。そういう訳で君は、税金対策をし、マーケティングを理解し、収支を管理し、印刷業者と口論し、コンベンションの計画を立て...ええいっ、つまり君はクリエーターの仕事以外の事を全部やらなきゃならんということだ。その上、ゲーム業界に関わる以上、君はリッチにはなれない。

とりあえず「有意義」という点については、イエスとしておこう(何にせよ、君は出版という仕事をしているのだから)。でも「収入」と「仕事環境」についてはノーだろう。

取りあえずの計算結果...あんまり良くない

上の二つはどちらも、「ダルい: 揃っている要素が一つだけなら、続けてもいいけど、あんまハッピーじゃないよね」の領域に納まった。じゃあどうしたらそれを「クールだ」まで押し上げることが出来るだろうか?

プロ意識

プロ意識を持ち込めば、仕事をもっと良いものに出来る。分かった、分かった。僕だってこれが、「道徳が犯罪を減らす」と同じ、おためごかしだって事ぐらい分かってるさ。

でも、さっきの二つの仕事に当てはめてみよう。最初はフリーライターだ。フリーライターの災難っていうのは大抵こういう所からやってくる:

  1. 大抵の企業が持っている、フリーライターに対する悪い先入観(「連中は皆ろくでなしだ!」)
  2. 仕事を貰うためだけにしなければならない事がある(中身のない無駄話とか)
  3. 明確な条項を持つ契約を結ぶ事と、原稿料を得る事の難しさ

ああもう、まったく、この業界にプロ意識を持ち込むことさえ出来るなら、こんなことは奇麗に収拾出来るのに!みんながもっとプロフェッショナルな態度を取る事が出来るなら、契約や支払いなんて滞りなく進むし、ゴタゴタも減るんだが。

また、よりプロ化を推進することで、これまでの古臭いファン系の人脈なんかよりも、もっと効率的なネットワークを築くことが出来る筈だ。同一業界内の(協会とか、同業者リストなどの)もっと信頼性の高い連絡手段や、Steve Jackson Games がしているみたいな、「フリーライター求人募集リスト」を作ってくれる会社がもっとあれば、もっと簡単に仕事を探す事が出来る。

仕事を探すための手間が省け、より良い連絡手段が手に入るということは、フリーランサーが自分のターゲットを絞り込めるということでもある。さて、仮に君が SF系ゲームのエキスパートだとしよう。だが、それでも君は Gelding Dragon について20000語ほど書く仕事があれば、引き受けるだろう。だって他に仕事がないんだから。でも、さっき言ったネットワークがもっと確実なものだったら、つまり、内輪話やコネによったりするものでなかったなら、そうはならない。SF 設定に詳しい筈の君が Gelding を書き、逆にドラゴンのエキスパートが「ボブの SF システム」を書くような、そんな物事を台無しにしてしまうような事は起こさないで済むだろう。

つまり、コミュニケーション面で、よりプロフェッショナルな情報が得られるようになるということは、フリーライターの立場から見れば、クリエティブでない作業の手間を減らし、自分により合った仕事を得る事が出来る、という利点がある。そして、企業各社がよりプロフェッショナルな振る舞いを見せてくれるということは、つまりフリーライターの頭痛がそれだけ安らぐということなんだ。

次に、フリーライターの側も、もっとプロフェッショナルにならなきゃいけない。締切り厳守は最重要項目だ。良い仕事をする、これも言うまでもないことだ。そうすれば、フリーライターがロクデナシだ、という先入観も減らすことが出来るだろう。そうすると、企業はもっと自信を持ってフリーライターを使うようになり、もっと自発的にネットワーク作りをしてくれるようになる(本当にどうしようもない時以外には、フリーライターを使わないようにするんじゃなくてね)。

そして更にプロ意識を

一方で、哀れな出版者は、件の「一つの要素しかもたない」仕事にもがいている。そういう人たちにも、プロ意識というのは役に立つ。プロの最初のルールは、「君には得意な仕事がある。他の人にもそれぞれ得意な仕事がある。自分の不得手な仕事は、誰か他の人にやってもらえ」だ。

単純だろ? つまり、だ。レイアウトが必要なら、朝の5時までマックとにらめっこするんじゃなくて、レイアウト屋さんに任せろってことだ。経理担当者を雇うんだ。電話やe-mailの応対は、受付係に任せろ。商品は自分で運ぶんじゃなくて、配送業者に任せろってこと。

資金

確かに、これには金がかかる。いや、ちょっと待て。今のは嘘だ。本当に掛かるのは金じゃない。君が失うのは、支配力だ。君は自分の会社のある部分に対する支配力を手放さなければならないんだ。長期的に見れば、実際にはそれほど金は掛かっていない。

印刷所の締切りを守れなかった場合(3ヶ月後にあの素晴らしい KoDT を出すってみんなに約束していたのに)の出費は、税理士への謝礼より高くついてしまう。そうなる前に、税理士さんに領収書や請求書、通知の類で一杯になった箱を渡して、お願いしておくことも出来たのに...

ちょっと待て。何だって? 経理上の書類手続きなんてこれまでもちゃんとしてなかっただって? 簿記もちゃんとやってこなかったから、会計士を雇っても無意味だって?

何か事を為そうと思うのなら、自分がしている事について、よく知っておかなきゃ駄目だ。それがプロ意識というものの原点だ。経理についてよく知らないのなら、何故自分でそれをやろうとする? やらなきゃならないからか? 出来が悪くてもいいという訳じゃない筈だろう。

起業者には必ずしも当てはまらない

申し訳ないが、このルールは起業者の皆さんには当てはまらない。それは、起業家が常にアウトソーシング出来るというわけじゃないからだ。起業者は、事を進めながら色々な事を学んでいく割合が多い。それが起業者である所以だからね。

言っておくが、二年以上やってきているのなら、君はもう起業者じゃない。誰かを雇うか、アウトソーシングを始めることが出来る筈だ。もしそうでないなら、君は間違った業界に参入したことになる。

何にせよ、君が自分の商売を次のレベルまで持ち上げたいというのならば、二番目の要素だけは揃っていないといけない。これは、ちょっとヒネリの入った経験値システムみたいなものだ。

最初は一つの要素だけがあればいい。経験を積み、洞察力を磨き、更に他の要素も得られるようにして、次のレベルに進もう。三つの要素が全部揃ったら、君の勝ちだ!

少なくとも、僕がこのコラムで「競争相手」について語るまではね。

じゃあまた来月。
Sandy sandy*at*rpg.net


この記事は米国RPGnetの許可に基づき翻訳されたものです。日本語訳については当サイト管理者ben*at*scoopsrpg.comまたは翻訳者まで。記事の内容については本人へ英語で連絡してください。

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