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Soapbox: Looking at the Industry

オールドスタイルなD&Dパーティとしての会社運営(Running a Business as an Old Style D&D Party)

by サンディー・アンテューンス(Sandy Antunes)

May 9, 2000

翻訳:Thalion <thalion*at*os.rim.or.jp>

オールドスタイルの D&D は、時々、あまりにも正確な人生の図式となってしまう時がある。ファイター、マジックユーザー、シーフ。どのクラスでスタートしても、最初は弱弱だ。けれども、シングルクラスのキャラクターだから、得られる全ての経験点をその道で成長するために費やすことが出来る。そして、短期間で5レベル、9レベル、30レベルに達してしまうことが可能だ。

一方、マルチクラスを選ぶことも出来る。例えば、ファイター/マジックユーザー/シーフのマルチクラスだ。ある日、君は自分と他のキャラクタを見比べて最高にエキサイティングな気分になる。君は、他のキャラクタが持っている三倍の種類の能力を持っているのだ。そしてその代償と言えば、せいぜいヒットポイントやスタミナが多少見劣りする位でしかない。

しかし、やがて皆が経験を積んでいくにしたがって、他のキャラクタ達は、目覚しいスピードで、その道のキャリアを駆け上っていく。一方、君はと言えば、得られた経験点を3つのクラスに割り振らねばならない。だから、彼らが5レベルに達する頃でも、君はまだそれぞれのクラスで、2レベルあたりをうろうろしていることになる。

そして、そのレベル格差から、キャラクタの持つパワーの差が発生する。最初、君は多才であるというメリットを持っていた筈だ。しかし、高いレベルに達することによって得られる強烈なパワーや能力は、そんなメリットなど簡単に圧倒してしまうのだ。

会社を運営していくということも、これに良く似ていることが分かっている。以前のコラムで僕は、会社を始めるのに最低3人(クリエーター、ビジネス担当、営業担当)が必要だと主張したことがある。僕はこの3人をそれぞれ業界の、ファイター、クレリック、シーフ(あー、ローグ、だね)と見なしている。D&Dのクラスが、これほどまでにビジネスの世界を図式化出来てるなんて、恐ろしいことだよ。

僕らが RPGnet を立ち上げた頃、エマと僕はマルチクラスだった。彼女はマジックユーザー/クレリック(つまりウェブデザイン担当者/サイト管理者)で、僕はファイター/クレリック/シーフ(業界担当/サイト更新者/営業担当)だった。

そして RPGnet は成長に成長を重ね、更に成長していった。やがて、ある日突然、エマと僕は、能力の限界に達してしまった。様々な事柄についていくのが苦痛になってしまったんだ。その頃の僕らのウェブページを観てくれる人たちを、敢えてモンスター(勿論、愛すべき怪物だけれども)に例えるならば、彼らはもともとは0レベルのウェブ閲覧者であり、空虚なウェブ空間の放浪者に過ぎなかった。だが、沢山のサイトが彼らの興味を引こうと競い合っている現在においては、彼らは10レベルの経験豊かなウェブジャンキーに成長してしまっている。しかし、エマと僕は、マルチクラスのそれぞれ5/5/4レベルぐらいでうろうろしている訳だ。

そういう訳で、パーティの構成を変えるべき時が来た。パトロンを手に入れ(例:資金力のある人々の買収を受け入れ)、手下を雇い(例:アウトソーシングし)、他の組織とパートナー関係を結んで、パーティのバランスを少々変更してみた。そして、僕ら自身のニッチを定義しなおした。

最初に、高レベルのシングルクラスな人を何人か取り入れた。スコットはレンジャー、つまり、周囲状況を探り、rpg.net の安全を図る事の出来るファイターだ。更にプログラムもこなしてくれる。ポールは恐らくイリュージョニストだろう。直接対決では普通のマジックユーザーには勝てないかも知れないが、柔軟性と、新しい方向へ素早く進もうとする時の援護能力がある。

次に、エマと僕はマルチクラス属性を切り離し、自分たちが一番得意な分野に集中することにした。今の彼女はモンクだ。個人プレイに優れるが、チームプレイヤーとしてはそれほどではない。その代わり、別のプレーンの事象(アイヴィーのこと)に集中し、危機的な状況が起きたときにのみ呼び出される。それ以外の場合、修道院に篭っている。(*1)

さて僕はと言えば、全クラスを統合し、rpg.net のために、シングルクラスのバードとなった。僕がファイター、マジックユーザー、シーフとして持っていたレベルは、現在のまま凍結することにした。そして、こうした面よりも、より物語を語る事に向かっていくようにしている。具体的に言えば、情報を取引きし、ネットワークを提供していくのだ。実はこれこそが、本来 rpg.net が目指した姿でもある。

言っておくが、今はまだ、様々なものが過渡期にある。今のところ、僕らはパーティが完成するまで、マルチクラスのまま、獅子奮迅の戦いを繰り広げている。けれども、僕らはそうした方向に向かおうとしている。そしてこれは、起業家と、自立した会社との違いでもあるんだ。

自立し、長期に渡って存続する会社において真に必要なのは、それぞれが特定の分野を最も愛し、特化した人々だ。これは、よりスムーズで効率の良い仕事をするためだけではなく、より高いレベルに達しようとするあまり、何年にも渡って頑張り続けた挙げ句に燃え尽きてしまうような現象を防ぐ、という意味もある。

だから、もし君が真剣に起業しようと思うのなら、5〜6人位のパートナーを手に入れるようにすると良い。5人もいれば、いくらかの余力を持って仕事をこなす事が出来るし、様々な事を決定するのにも、時間が掛からない程度の人数だ。この組合わせは、ファイター/マジックユーザー/シーフの最小セットとはちょっとばかり違うものになる。

フロントマン(最前線に立ってくれる人)が欲しいと思うだろう。これは、ビジネススキルに優れ、良い人脈を持ち、様々な物事をクリエティブに見る事の出来る人材となる。これは CEO(Chief Executive Officer)と呼ばれるものだ。僕らはこれをファイターと呼ぶ。なぜなら、彼はあらゆる戦いにおいて、常に最前面に立つからだ。

また、背後を任せる事の出来るプログラマー/インフラ担当者が必要になるだろう。こうした人材はしばしば CTO (Chief Technology Officer)と呼ばれる。僕らはこれをクレリックと呼ぶ。有益な支援火力を提供し、戦士の後ろを守り、そして異常が起きたらそれに対処する役割だ。

次は会計士。誰かが数字の相手をしなければならない。キャッシュフローが会社にとってどれほど大切かということを考えれば、これはマジックユーザーの役割という事になる。彼らは資金力というパワーを制御する。この力を増すことが出来れば、それこそ無敵になれる。この力を失えば、他の誰かが持っている魔法の力にすがるしか無くなる。

法律系の担当者もグループの一員だ。様々な事柄を奇麗に整頓し、トラブルに巻き込まれるのを防いでくれる。幸いなことに、弁護士の中にはかなりの数のゲーマーがいる。彼らをパラディンと呼ぶ。グループの指導的役割を果たす者だからだ。「これこそ私たちがするべき事です」「私たちはそんなことに手を染めるべきではありません。それは正しくないことです」 彼らと正面切って闘いたい奴なんかいない、という所も同じだね。

マーケティング担当者も必要だ。これはドルイドだろう。彼らは彼らの領域で働く。その領域、つまり森には独自の掟とパワーが存在するのだ。そしてその領域では、彼らこそが至上の存在なのだ。彼らは不思議な序列に属しており、謎の言葉で会話する。そして、彼らは社内の他の部門に対して不可解な要求を発する。その要求に従えば、最も小さい破滅で済ませてくれるというものだ。その代わり、彼らの優れた呪文は、あらゆる物を確実に成長させてくれるのだ。

営業担当者は手ごろだが、これは地元のシーフギルドに委託して、アウトソーシングしてしまうことが出来る。僕らはこれをローグ担当の部分と観ている。理想的には、道徳観念のあるシーフがいい。店を明け渡したりせずに、グループのために交渉をしてくれる人。

さぁ揃ったぞ。ファイター、クレリック、マジックユーザー、パラディン、ドルイド、そしてローグ。パーティ勢揃い。完璧なビジネスチームだ。だが、ある起業家の所では、パラディンとマジックユーザーは、自分のための冒険に出奔した。アナロジーの原典に戻ってみよう。そう、パラディンがいないと、いろいろ揉め事が起こり、他のメンバーに負担をかける程度だ。でもマジックユーザーがいなかったら? ぎゃーす、会社を畳むしかないね!

このシンプルなアナロジーを使うと、起業スタッフを揃え方が、かなり分かりやすくなる。一つ重要な事は、この役割のどれも「戦略家」ではないということだ。別の言い方をすれば、仕事を持たない「アイディアマン」というものは有り得ない。どの役割も、実際に仕事を持っている。そして、この事こそが、効率的な冒険者グループ(=ビジネスグループ)と、酒場にたむろするホラ吹き集団&仕事をばらまく(だが非効率的な)パトロンとの違いでもあるのだ。

さて、ここまでの話では、実際にものを作ってくれる、クリエイティブな面を担当する人の事を説明しなかった。実はゲーム会社では、これはあまり問題になることはない。僕らはみんなよくゲームをプレイするし、デザイナーでありライターであることが第一で、ビジネスマンは二番目だ。最終的には、僕らはちょっとだけマルチクラスが混じってるんだと思うよ。

じゃあまた来月。
Sandy
sandy*at*rpg.net


訳注

*1 : 修道院

要は育児に専念していて、忙しい時だけ手伝ってくれる、という事らしい。ちなみにアイヴィーとは、愛する娘さんのこと。余談だが、彼女は既に業界関係者としての才能の片鱗を見せているらしく、以前、rpg.net にコンベンションのレポートを出した事がある。

この記事は米国RPGnetの許可に基づき翻訳されたものです。日本語訳については当サイト管理者ben*at*scoopsrpg.comまたは翻訳者まで。記事の内容については本人へ英語で連絡してください。

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